dietNEWS

たかいわクリニック

skin labo 美肌総合研究所

ダイエット・体質改善

美しくなるために知る栄養学⑶2014年11月29日

 

いつから「1日3食」が定着したのでしょう?

 

平安時代、貴族の食事は朝夕2度(労働する人は間食したが、一般的には2食だった)といわれています。しかし、宴会を開くことも多かったようで、この時代の有名な人物である藤原道長は、日本で最古の糖尿病患者であったという説があります。この根拠として、同じくこの時代の人物である藤原実資の日記「小右記」には、道長が「多飲多尿、口の渇き、視力低下、化膿症」などの糖尿病特有の症状を示していた記述があります。

 

さて、江戸時代に移ると、食事の回数は上下階級ともに3食となり、白米を主食とした食事が、通常の食事とみなされるようになりました(渡辺実. 日本食生活史 吉川弘文館)より引用)。さらに、現代とは異なり、1日に必要なエネルギーの80%~90%程度を、ご飯から得ていたという説があります。(江原絢子 他. 日本食物史 吉川弘文館)。また、食事時間についても、階級や身分によってそれぞれ慣習を形成しており、地方によっても差があったものと思われます。では、いつから今のような食習慣が全国的に広まったのでしょうか?

 

FCFOU_syutoukuresonpasuta500

 

3回食で長生き?

 

3回食が普及した根拠は、明治時代にありました。栄養学の創始者、栄養学の父といわれる佐伯矩は、人間を対象とした研究により、当時の成人男性の必要エネルギー量が約2500kcal程度であることを示しました(Sports Graphic Number Do Early Summer 2014, Bungeishunju)。また、ラットなどを使った実験で、朝はたんぱく質のみ、昼は脂質のみ、夜は炭水化物のみを与えたものと、炭水化物、たんぱく質、脂質を3分の1ずつ混ぜ、バランスを整えた食事を与えたものとの比較を行いました。その結果、バランスのいい食事を与えた方が、成長がよく、長生きであったことを示しました。

 

これらの結果から考えると、1日2食で必要な栄養素を全て取るのは、1食の分量がとても多くなってしまうため、とても大変です。そこで、佐伯矩は、必要な栄養素を3等分したバランスのよい食事を、生活習慣に合わせて食べるのが、最もいいと結論付けました。これが、今日の3回食がよいとされる根拠になっていると考えられます。健康は日々の生活習慣の積み重ねに影響を受けます。普段から、バランスのよい食習慣を心がけましょう。

 

文 : 管理栄養士 林 史和 先生